素足のトラブル辞典

水虫(爪水虫)

水虫は、白癬菌というカビ(真菌)の一種が皮膚に棲みつくことで起こる感染症です。足の指の間の皮がむけたり、ただれたりする趾間型、土踏まずや足の指の付け根に近い部分に水疱ができる小水疱型、そして足の裏全体、特にかかとの裏の角質が厚くなり、皮がむけたりヒビが入ったりする角質増殖型の3種類があります。特に角質増殖型は痛みやかゆみがなく、症状がわかりにくいため、気づいていない人が多いのが特徴です。さらに菌を長い間放置していると、爪と皮膚の間に移動し、爪水虫になることも。爪が厚くなり、濁った黄白色に変色していたり、爪が変形してきた場合には爪水虫にかかっている可能性も考えましょう。床やカーペット、足ふきマットに潜んでいる水虫菌が足の裏から角質層に入りこみ、繁殖することで感染します。作業靴やブーツなど通気性の悪い靴を履いている人や、足先を締め付け指の間の湿気が増加するハイヒールなどをよく履いている人は、足裏に湿気を帯びやすく菌が繁殖しやすいので、注意しましょう。一度水虫になったら、皮膚内の菌を完全に退治するまで治りません。必ず専門医の指示に従い、適切な処置をしてください。ただし、かゆみやただれがあるなど、症状が似ていても、必ずしも水虫とは限りません。菌が原因ではない他の疾患の場合は、市販の水虫薬では効果がないため、足裏に異常が見られたら、まずは専門医に相談してください。

予防法

■足を洗う
足を洗う

毎晩足を洗い、足裏についた白癬菌をきちんと洗い流すこと。ただし、ブラシなどでごしごしと洗うのは厳禁です。ブラシやタオル、やすりなどで目には見えない傷がつくことで、菌が皮膚内に入りやすくなり、棲みついてしまう可能性が高くなります。指で泡立てた石鹸で洗い流すだけで十分です。

■同じ靴を履かない
靴のローテーション

湿気は菌の繁殖の元。2?3足の靴をかわるがわる履き、靴の中を乾燥させるようにしましょう。安全靴や作業靴、ブーツなど通気性が悪い靴は特に注意が必要。またつま先に重心がかかり、指の間の湿度が上がるハイヒールも菌の繁殖を招きやすいので注意が必要です。

■バスマットはこまめに取り換える
バスマット

バスマットは白癬菌の温床。こまめに取り換え、常に乾いた状態にしておくことが重要です。水虫患者がいる場合は、バスマットを分け、菌が分散しないようにしましょう。

■5本指ソックスで指の間を蒸らさない
五本指ソックス

指と指の間を蒸らしにくいという点では、五本指ソックスの使用がお勧めです。ただし、家族に水虫患者がいる場合などは、ウールや足袋のような目の細かい素材をお薦めします。綿や絹の靴下は目が粗く菌が皮膚に到達してしまうので、その上にスリッパを履くなどして予防しましょう。

■"足裏をこすらず"角質を減らす
軽石禁止

菌が棲みつく角質層を減らせば、菌の繁殖を防ぐことが可能。ひいては予防につながります。ただし、肌に細かい傷がつきやすいやすりや軽石の使用は避け、ピーラータイプや、ピーリングタイプを用いて定期的にケアを行い、保湿クリームなどで保護するようにしましょう。

■甘皮を過度に処理しない
甘皮ばい菌

甘皮は外部から爪内部に雑菌が入るのを防ぐ働きをしています。そのため、甘皮を除去してしまうことでバリアがなくなり、菌が入り込んでしまうことも。除去しない方が賢明です。

■深爪をしない
爪の切り方

深爪の状態でつま先が圧迫されると、爪の先の肉が盛り上がってしまい、陥入爪になって炎症を起こしてしまうことも。そこから菌が入り込んで爪水虫になってしまう可能性もあります。爪を切るときは、ふちを丸く深く切るのではなく、四角く切るようにしましょう。

監修

仲 弥(なか・わたる)

仲 弥(なか・わたる)

医学博士、仲皮フ科クリニック院長。慶應義塾大学医学部卒業後、皮膚科教室に入局。その後慶應義塾大学医学部皮膚科の医局長・医長、専任講師を経て、96年より埼玉県川越市に仲皮フ科クリニックを開業。現在、埼玉県皮膚科医会会長、日本臨床皮膚科医会参与、日本皮膚科学会代議員、日本医真菌学会評議員などを務めるとともに全国各地で最新の水虫治療などについて多数の講演を行っている。著書に「水虫は1か月で治せる」(現代書林)など。

仲皮フ科クリニック

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