素足のトラブル辞典

巻爪・陥入爪

巻爪とは、爪の両脇が巻いている状態のこと。また、爪の角が組織に食い込んで炎症を引き起こした状態を陥入爪(かんにゅうそう)と呼び、靴があたったり、歩くたびに痛みを伴うのが一般的です。足指への締め付けが爪の変形を招くことが多く、女性だけでなく男性にもよく見られます。サイズが小さい靴や先が細いハイヒール、スキーブーツや登山靴による圧迫、また急な体重増加によって、足先や爪に負担がかかり、巻爪や陥入爪を引き起こします。そのため、成長期や妊娠期の急激な体重の増加が原因になることもあるので注意が必要です。そのほか、深爪や爪垢の過剰な処理も巻爪や陥入爪の原因になるので、避けるようにしましょう。また、最近では足の親指への荷重の不足が巻き爪の一因になることも分かってきました。一旦指に痛みが生じるとそれを避けるために自然と体重をかけなくなりますが、それによりさらに爪の変形が進んでしまうのです。治療法としては、手術で足爪の幅を狭くするなどして、皮膚に刺激を与えている部分を除去する方法と、ワイヤーなどを用いて中長期的に爪の形を矯正する方法があります。しかし、どちらも根本的原因を解決しない限り、再発してしまうもの。履く靴を見直すなど、生活習慣の改善が必要です。

予防法

■家に着いたら、なるべく裸足で
裸足

指先への圧迫は、爪に大きな負担がかかるもの。家の中では、ストッキングや靴下を脱ぎ、なるべく裸足で過ごすようにしましょう。ただし、五本指ソックスは、一見足指が解放されているように見えますが、実際は指の一本一本を締め付ける設計になっており、爪への圧迫が巻爪の原因に。どうしても五本指ソックスが手放せない方は、せめて指周りのゴムを抜いて履くようにしましょう。

■爪を切るときはスクエアに
爪スクエア

爪は指先を守る大切な部分。切りすぎるとかえって巻爪や陥入爪を引き起こしやすくなります。爪を切る時は、深爪にならないよう、1.5?程度残した状態で切るようにしましょう。月に一回程度の頻度で十分です。切る際には、ふちを丸くせず、四角い形で切るようにしましょう。刃がまっすぐの爪切りを選ぶ方が、よりしっかりスクエア形に切れるので、お勧めです。

■パンプスを履くならオープントゥで
オープントゥ

足先に負担がかかるハイヒールは巻爪や陥入爪の大きな原因に。理想的には、甲の部分がしっかり覆われ、高さが3cm以下の靴ですが、デザインを重視したいのであれば、TPOに合わせて、パーティの時だけにするなど、最低限の時間だけ履くようにしましょう。また、足先があいたオープントゥタイプのパンプスの方が、足指への負荷が和らぐので、お薦めです。

■ストッキングは大きめサイズを
五本指ソックス

意外と足先を締め付けてしまうのが、ストッキング。特にストッキングは靴下のようにサイズが細かく分かれていないので、知らず知らずのうちに小さいサイズで足先を締め付けています。なるべく、足のサイズにピッタリフィットしたもの、もしくは少し緩めのものを選ぶようにしましょう。また、つま先があいている流行のレギンスやトレンカタイプの方が、指先への圧迫が少ないのでお勧めです。

■歩き方にも注意が必要
軽石禁止

正しい歩き方も巻き爪予防には重要。歩く際は踵から着地し、足の外側から親指の付け根に荷重移動したあと指で地面を掴むあるいは地面を蹴るように歩くと指まで正しく荷重ができ、爪の巻き込みを予防に有効です。正しく歩くためには歩きやすい靴選びはもちろんですが、背筋を伸ばしてやや遠くに視線を向け、手を振りながら、いつもより靴一つ分大きめの歩幅でゆっくりとした足運びで歩くようにしましょう。またランニングも効果的です。

監修

野田弘二郎(のだ・こうじろう)

野田弘二郎(のだ・こうじろう)

医学博士、日本形成外科学会専門医、神楽坂肌と爪のクリニック院長。久留米大医学部卒業後、昭和大形成外科医局長・助教、パリ第7大サンルイ病院留学。コソボ、ネパール、ニジェール等で医療NGOとして従事し、2009年3月に「神楽坂 肌と爪のクリニック」開業。プロネイリストとしての資格も生かし、幅広い知識と経験で美と健康の両面から診療にあたっている。

神楽坂肌と爪のクリニック